COLUMN

2025.07.28

企業の収益性を強化!
付加価値向上のポイントや
コスト削減の基本を解説

  • 企業価値向上

企業の収益性を強化!付加価値向上のポイントやコスト削減の基本を解説

目次

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原価高騰や人件費高の影響で企業の収益力が低下する環境下となっている昨今、収益力を高めることが企業経営における重要なテーマとなっています。収益向上をすなわち売上の拡大と解釈する経営者や経営幹部は少なくありませんが、売上を上げても収益力が下がっていては成長ではなく、膨張の状態であると言えます。

企業は環境適応業であり、どのような状況でも目まぐるしく変化する環境変化を捉え、適応し続けることが成長企業の原理原則であると言えます。

収益=利益でありますが、利益にもいくつか種類があります。売上総利益(粗利)、営業利益、経常利益、その他限界利益という概念があります。各利益が指している意味合いは異なり、自社の収益構造を捉えた上で、向上させるべき利益の設定と施策を打ち続けなければなりません。しかし、いずれの利益においても共通する考え方があり、本コラムでは収益力向上を実現する着眼点を解説します。

自社の収益構造を今一度捉え、その上でどのような施策が必要となるかをぜひ検討し、今後の成長にぜひお役立てください。

1. 収益構造の見直しと付加価値の向上

企業が持続的に成長し、競争の激しい市場で生き残るためには、収益向上が欠かせません。
しかし、収益向上を実現するためには、単なるコスト削減や売上拡大だけでは不十分です。企業の収益構造を深く理解し、戦略的な施策を講じることが求められます。本コラムでは、収益向上を実現するための施策を2つの視点にまとめ、それぞれの特徴を解説します。

収益向上を実現するためには、まず現在の収益構造を正確に把握し、課題を明確化することが重要です。収益構造を分解して分析することで、どの部分に改善の余地があるのかを特定できます。ロジックツリーを活用して売上高を「客数」と「販売単価」に分解し、さらに「客数」を「来店客数」と「買い上げ率」に細分化することで、収益のボトルネックを特定します。また、ROA(総資産経常利益率)、ROIC(投下資本利益率)、ROE(自己資本利益率)などの経営指標を用いて、収益性や資本効率を分析します。

さらに、収益を拡大するためには、販売単価を引き上げることも重要です。そのためには、高付加価値商品の開発や価格戦略の見直しが必要です。顧客のニーズを深掘りし、競合他社にはない独自性のある商品やサービスを開発することで、単価を引き上げることが可能です。例えば、プレミアムラインの商品を追加することで、顧客に新たな選択肢を提供します。また、価格設定を見直し、適正な利益を確保することも重要です。値上げが難しい場合でも、セット販売やサブスクリプションモデルを導入することで、顧客単価を向上させることができます。

ブランド価値を高めるためのブランディング活動を強化することも、収益向上において欠かせません。顧客が価格以上の価値を感じるようにすることで、価格競争に巻き込まれるリスクを軽減し、収益性を向上させることができます。

ロジックツリー(Whatツリー)による考え方
出所:タナベコンサルティング作成

2. コスト構造の最適化と顧客基盤の強化

収益性を高めるためには、売上を増やすだけでなく、コスト構造を最適化することも重要です。特に、固定費と変動費を明確に分け、それぞれに適した削減策を講じることが求められます。固定費の削減には、オフィススペースの見直しや、ITシステムの導入による業務効率化が挙げられます。また、遊休資産の売却やリース契約の見直しも効果的です。一方、変動費の管理では、仕入れコストを削減するために仕入れ先との交渉を強化し、在庫管理を徹底して無駄な在庫を削減します。さらに、コア業務以外の部分を外部に委託するアウトソーシングを活用することで、コストを削減しつつ、業務の効率化を図ることができます。

また、収益拡大を持続的に実現するためには、顧客基盤を強化し、リピート率を向上させることが重要です。新規顧客の獲得には高いコストがかかるため、既存顧客をいかに維持し、再購入を促すかが鍵となります。顧客満足度を向上させるためには、顧客の声を積極的に収集し、商品やサービスの改善に活かします。また、アフターサービスを充実させることで、顧客満足度を高めます。さらに、ポイント制度や会員特典を導入し、顧客のロイヤルティを向上させることで、リピート購入を促進します。

既存顧客からの紹介を促す仕組みを構築することも効果的です。例えば、紹介者と新規顧客の双方に特典を提供することで、紹介のハードルを下げることができます。また、SNSやメールマーケティングを活用し、顧客との接点を増やすことで、顧客との関係を深め、リピート率を向上させることができます。

コスト構造の最適化と顧客基盤の強化
出所:タナベコンサルティング作成

最後に

企業が収益を拡大するためには、収益構造の見直しと付加価値の向上を通じて課題を明確にし、販売単価を引き上げる施策を講じることが重要です。また、コスト構造を最適化し、効率的な運営を実現することで、売上が増えなくても利益を確保できる体制を構築することが可能です。さらに、顧客基盤を強化し、リピート率を向上させることで、安定した収益を確保し、持続的な成長を目指すことができます。
これらの施策を実行することで、企業は競争の激しい市場での優位性を確保し、持続的な成長を実現することができます。収益向上は短期間で達成できるものではありませんが、戦略的な取り組みを継続することで、着実に成果を積み重ねることが期待できます。

また、収益向上を目指す際には、短期的な利益だけでなく、長期的な視点を持つことが重要です。例えば、顧客基盤の強化やブランド価値の向上といった施策は、すぐに結果が出るものではありませんが、将来的な収益の安定化に大きく寄与します。さらに、収益構造の見直しやコスト構造の最適化は、企業全体の効率性を高めるだけでなく、経営資源をより効果的に活用するための基盤を築くことにもつながります。
最後に、収益向上の取り組みは、企業の規模や業種によって異なるアプローチが求められることを忘れてはなりません。自社の状況を正確に把握し、適切な施策を選択することで、より効果的な収益向上を実現することができるでしょう。

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